この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
目次
1. 本記事の目的
本記事では、現代における企業のCSR活動を行う意義について考えます。現代でCSR活動を行うことは、ESG投資を採用している機関からの投資を受けることにつながり、株主利益に直結します。本記事の構成は、まずCSR活動を二タイプに分け、議論の対象とするCSR活動の種類を明確化します。その後、CSR活動がESG投資を採用している機関からの投資を促し、株価の上昇や安定により株主利益につながることを説明します。
2. CSR活動とは
CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の頭文字を取った略語であり、直訳すると「企業の社会的責任」となります。
CSR活動は、企業が自社の利益を追求するだけでなく、自らの組織活動が社会へ与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダにとってプラスになること全般を指します。ここでのステークホルダとは、投資家や企業の顧客、従業員等、広い範囲を取ります。
3. CSR活動の例
例えば、石油の開発や精製、調達を主に行う企業であるコスモ石油(5021)は、地球温暖化防止への取り組みとして製油所の省エネルギー活動を行っています。
また、タバコの製造販売を行うJT(2914)は、多様かつ複雑なそれぞれの地域社会の重要課題に対し、地域の核となって主体的に取り組む非営利法人の事業を支援しています。
4. CSR活動のタイプ
これらの活動例より、企業のCSR活動は二つのタイプに大別できます。一つ目のタイプは、自らが起こす外部効果(外部不経済)を軽減するものです。
例えば、コスモ石油は事業活動を行う際に温室効果ガスを排出するため、地球温暖化という外部効果を生じさせています。そのため省エネルギー活動は、自らが起こす外部効果を軽減する活動であると言えます。このタイプのCSR活動に関すると、活動を行うことが効果的であると私は考えます。その理由は、株主の目的が自己の利益の最大化とすると、企業から得た配当を必ずしも外部効果を軽減する活動に使わない可能性があるからです。そのため、企業は自らが起こす外部効果に責任を持ち、多少の利益をCSR活動に使うべきです。
二つ目のタイプは、事業と全く関係ない社会課題を解決、支援するものです。JTの活動例はこれに当たります。このタイプのCSR活動に関すると、活動を行うことが効果的でないと私は考えます。その理由は、事業と全く関係のない活動に資金や労力を投入するより、副流煙が一切出ないたばこを開発するなど、より優先事項対し資金や労力を投入すべきだからです。
よって、これ以降のCSR活動という言葉は、コスモ石油のような一つ目のタイプを意味することとします。
5. CSR活動はESG投資へと繋がり、株主に利益をもたらす
現代において、CSR活動はESG投資へと繋がります。その理由は、現代社会においてESG投資という投資概念が流行しており、CSR活動が株主利益に直結するからです。
ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視、選別して行なう投資のことです。そのため、環境や社会問題に対しCSR活動を行っていることを対外的にアピールすることは、ESG投資を採用している機関などから投資してもらうことにつながるのです。
ESG投資は、日本最大の投資機関である年金積立金管理運用独立行政法人や、世界最大の投資機関であるブラックロックにも採用されています。これらの大規模な投資機関からの投資は、株価の上昇や安定に繋がります。このことは、株主の利益に他なりません。
以上より、現代でCSR活動を行う意義は、一つ目のタイプのCSR活動に限り、ESG投資を採用している機関からの投資を受けることに繋がり、株主利益に直結します。そのため、企業はCSR活動を行う意義を持つこととなります。
U-Mapでは、お仕事の依頼を承っています。
詳しくは、こちらから!