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目次
1. 本記事の目的
本記事では、金融のコングロマリッド企業であるSBIグループの戦略を解説した後に、上場子会社を含めた株主優待等の株主還元策を紹介します。
現時点(2020/07/24)で上場しているSBIグループの上場企業は、SBIホールディングス(8473)とモーニングスター(4765)、SBIインシュアランスグループ(7326)の三社となります。
SBIインシュアランスグループはまだ営業キャッシュフローがマイナスであるため、充分な株主還元策は行われませんが、SBIホールディングスとモーニングスターの株主還元策は屈指の日本屈指のレベルであり、購入を一考する価値があると思います。
2. SBIグループとは
SBIグループは、インターネットをメインチャネルとし、証券や銀行、保険等金融事業を展開する総合金融グループです。代表取締役社長は創業当時より北尾氏が務めておられます。
この北尾氏、元々は孫氏が経営するソフトバンクにおいて、IT企業買収等を資金調達面や株価対策面で支えていたという経歴を持ちます。ちなみに社名のSBIは、ソフト(S)・バンク(B)・インベストメント(I)の頭文字を取っています。北尾氏は2005年6月にソフトバンクの取締役を退任し、SBIグループの成長に心血を注いできました。
現在、SBIグループの企業は約50社にも及びます。
3. SBIグループの戦略
SBIグループは、SBI証券や住信SBIネット銀行、SBIインシュアランスグループ等の「金融サービス事業」や国内外のIT、バイオや金融関連のベンチャー企業などへの投資や、モーニングスター等の資産運用に関連するサービスの提供等を行う「アセットマネジメント事業」、医薬品や健康食品等を手掛ける「バイオ関連事業」を主要事業とし、事業展開を行っています。
「バイオ関連事業」を行っていることが意外かもしれませんね。以前北尾氏の講演をお聞きしたことがあるのですが、「これからバイオ事業は絶対に伸びる」と断言されていたので、これからの動向に注目したいです。
さて、最近動きが活発なのは「金融サービス事業」です。北尾氏は、地方銀行をめぐる二つの構想を推し進めています。
一つ目は、「地方創生パートナーズ」です。地銀に対し、システムの共同利用や地方創生に資するノウハウの共有、ベンチャー企業への出資が目的となります。
二つ目は、「第4のメガバンク構想」です。これは、苦境にあえぐ島根銀行(7150)等の地銀と資本業務提携を行い、資産の運用やコスト削減を集中的に支援するものです。現在の提携は4行に留まりますが、将来的には10行程度のグループを目指しているそうです。
この中で注目したいのは、システムの共同利用です。銀行は、勘定系と呼ばれる決済を主に行うシステムを持っているのですが、これを維持するコストが非常に重いのです。そのため、SBIを中心として勘定系システムが共同化されると、そのコストを皆で負担することができるため、銀行の経費が下がることとなります。地銀が低収益に喘ぐ中、この取り組みによるコスト削減は非常に大きいと考えられます。
4. SBIホールディングスの株主還元
SBIホールディングスでは、毎年3月31日現在の株主に対し、二つの株主優待を実施しています。
一つ目は、子会社のSBI VCトレード株式会社の口座で暗号資産であるXRPが受け取れるクーポンコード券です。100株以上の株主は、95XRP(2020年4月27日時点換算で2,000円相当)で、1,000株以上かる一年以上保有している株主には、380XRP(2020年4月27日時点換算で8,000円相当)での贈呈となります。暗号資産は怖いけど興味があるという人は良いかもしれません。
ただ、SBI VCトレードの口座開設は免許証およびマイナンバーの提出が必要になり、かつ細かい要件が多く決められているため、非常に面倒であった記憶があります。
二つ目は、子会社のSBIアラプロモ株式会社が販売する商品セットのいずれかを選択しお申込みいただける「選択申込券」の贈呈です。これはそんなに特筆すべきことがないため割愛させていただきます。
特にSBIホールディングスで特筆すべき株主還元策は、配当金です。なんと、1株につき100円ももらえます。これは、一株2,000円で計算すると年利5%の高利回りであり、今後の成長を考えるとNISAでの保有を推奨したいと思います。
5. モーニングスターの株主還元
モーニングスターは、主に金融商品やウェブサイトの評価、情報提供およびコンサルティングを行っている企業です。モーニングスターも、毎年3月31日現在の株主に対し、二つの株主優待を実施しています。
一つ目は、SBIホールディングスと同じく子会社のSBI VCトレード株式会社の口座で暗号資産であるXRPが受け取れるクーポンコード券です。100株以上の株主は、50XRP(2020年2月20日時点換算で1,545円円相当)の贈呈となります。これも、暗号資産は怖いけど興味があるという人は良いかもしれません。
二つ目は、「株式新聞ウェブ版」の購読クーポンです。これが凄いです。月額4,400円の新聞が、なんと無料で読めてしまいます。100株以上500株未満の場合は6ヵ月無料購読クーポン(26,400円相当)27,945円であり、500株以上はなんと12ヵ月無料購読クーポン(52,800円相当)です。
正直、この株主優待は、優待銘柄の代表であるイオン(8267)やオリックス(8591)、すかいらーく(3197)と比べても見劣りしないものであります。
加えて、配当金は1株につき15円ももらえます。これは、一株400円で計算すると年利3.75%の高利回りであります。
6. SBIインシュアランスグループの株主還元
SBIインシュアランスグループは優待も配当も実施していません。ただ、SBIグループの株主還元が非常に優れていることを考えると、利益やキャッシュフローが安定してきた時が楽しみです。
上の図を見ていただくと分かる通り、主力のSBI生命は全国各地の金融機関との連携が重要となります。そのため、戦略の部分で述べた「地方創生パートナーズ」や「第4のメガバンク構想」が上手くいくかどうかが最大の焦点となります。
以上、SBIグループの戦略と株主還元策を述べました。個人投資家としては、非常に魅力的な企業グループであると思います。
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