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目次
1. 本記事の目的
昨今、日本企業による企業への出資、買収が相次いでいます。最近の大きな事例としては、アサヒグループホールディングス(2502)によるビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブの豪州事業買収や昭和電工(4004)による日立化成に対するTOB、進行中のものも含めるとコロワイド(7616)による、大戸屋ホールディングス(2705)の敵対的TOBが挙げられます。
コロワイド(7616)の大戸屋(2705)買収に、シナジーは発生するのか?前編
本記事では、日本を代表する企業グループである日立グループとNECグループ、NTTグループの過去10年の企業への買収や出資の傾向をつかみ、グループが目指す方向性について示唆を得るものです。
2. 日立グループの過去10年の買収・出資
日立グループの過去10年の買収や出資データは、グループ内の再編を含めて128件抽出できました。傾向として、海外の鉄道の車両製造やカーリース、交通に関連したデータ分析等のモビリティ関連企業の買収が目立つといったところです。
例えば、2019年10月にはオランダにある日立グループの「Hitachi Capital Mobility Holding Netherlands BV」がベルギーのカーリース企業である「Mobilease Belgium SA/NV」を買収、同じく2019年2月には日立キャピタル(8586)がオランダのMaaSアプリ開発企業である「Mobility Mixx」を買収しています。
現在日立では、Lumada戦略を採用しており、データを活用することで社会インフラ等をサポートする事業を推し進めています。そのため、抽出したデータも併せ、今後もモビリティ等のインフラやデータ分析企業の買収・出資を、海外を中心に行っていくことが予想できます。
3. NECグループの過去10年の買収・出資
NECグループの過去10年の買収や出資データは、グループ内の再編を含めて142件抽出できました。傾向として、多様な種類の企業の買収を行っているといったところです。
例えば、2019年10月に日本電気(6701)がSBIグループとのジョイントベンチャーでフィンテックプロバイダーのSBIデジトラストに出資したり、独自の機械学習ベースのソフトウェアを提供するバイオインフォマティクス企業である、「OncoImmunity」を2019年7月に買収しています。
現在NECでは、金融やバイオに関連した事業に集中していると見られ、今後もこの動きは変わらないでしょう。
4. NTTグループの過去10年の買収・出資
NTTグループの過去10年の買収や出資データは、グループ内の再編を含めて262件抽出できました。傾向として、ドローンや地図情報提供企業等、日立と同じくモビリティ関連企業の買収が目立つといったところです。
例えば、2020年3月には日本電信電話(9432)が日本の地図データベースを提供する企業であるゼンリン(9474)に資本業務提携としての出資していることや、2020年4月にはNTTデータ(9613)がジャパン・インフラ・ウェイマークというドローンを利用したインフラ検査サービスを日本で展開する企業を買収しています。
特徴として、日立と比較して日本の企業を買収している割合が多いことです。今後も日本の位置データサービスやドローン等、日本において強みを発揮している企業を買収していくと予想されます。
5. まとめ
以上、三社の買収・出資傾向によるグループごとの今後の将来像を述べました。日本企業による買収・出資は今後も加速していくと見られるため、注視していきたいですね。
加えて、今回はSPEEDAよりデータを抽出しました。SPEEDAはユーザベース(3966)という企業が提供するデータプラットフォームなのですが、非常に使い勝手がよく重宝しています。利用料は少し高いのですが・・・(笑)。ちなみに、結構加工しましたがこんな感じにリスト化できます。
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