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目次
1. 本記事の目的
本記事では、2020年5月15日に民事再生法を申請して倒産したアパレル大手のレナウンについて、過去四年の財務分析を中心に倒産理由を考えます。
【参考】今更聞けない倒産の定義:六つのケースを分かりやすく解説
結論として、レナウンの倒産した理由は二点あると考えられます。一つ目は、百貨店ビジネスの苦境です。百貨店の売上は、ここ数年インバウンド需要により何とか保たれていたものの、今回のコロナ騒動で急減しています。その影響がレナウンに与える影響は相当大きいと考えられます。また、委託仕入方式という百貨店との関係が、在庫を増やした原因であると考えれます。二つ目が、ECサイトの不調です。レナウンのターゲット顧客はやや年配寄りのため、ECサイトの構築費用や維持費用に見合うだけの投資対効果があったか非常に疑問です。
2. レナウンとは?
レナウンは、1902年にメリヤス製品の卸売業者として創業した企業です。以来100年を超える長い間、ファッションを通じて人々の暮らしに寄り添うパートナーとして事業を展開してきました。長らく東証一部に上場してきた、アパレル業界の勇です。
主要ブランドとして、「ダーバン」や「アクアスキュータム」等を有します。ターゲット顧客はやや年配寄りのイメージがあります。
販売チャネルは百貨店を中心に、近年はECサイトに力を入れておりました。
3. レナウンの財務状況
レナウンの財務状況を確認すると、2016年2月期は良いものの、2017年と2019年2月、そして民事再生を申請する直近の2019年12月期は営業利益や当期純利益がマイナスとなっており、相当経営が厳しかったことが分かります。特に売上高は4年で10%も落ちております。
2017年2月期に急に経営が苦しくなったかと言うと、そうではありません。2016年2月期には、多額の営業キャッシュフローのマイナスを計上しております。おそらく、アパレル不況による在庫の積み重なり等が影響していると考えられます。
レナウンの財務状況が悪化し、倒産した理由は二点あると考えられます。一つ目は、百貨店ビジネスの苦境です。二つ目が、ECサイトの不調です。
4. 倒産の理由①:百貨店ビジネスの苦境
先述した通り、レナウンの主要チャネルは百貨店です。そのため、百貨店の経営状況が影響します。その百貨店の売上は、ここ数年インバウンド需要により何とか保たれていたものの、今回のコロナ騒動で急減しています。その影響がレナウンに与える影響は相当大きいと考えられます。
加えて、百貨店とアパレルメーカーの関係は、委託仕入方式という、仕入先から一定期間、商品を預りその販売を委託される仕入形態を採用しています。仕入れた商品は百貨店の所有となりますが、売れ残った商品については仕入先であるアパレルメーカーに返品することができるのです。これによりレナウンの在庫が積み増され、キャッシュフローが急激に悪化していった可能性があります。
加えて、現在のファッションはユニクロ等のSPA(企画・計画・生産・物流・販売を一貫して行う業態)が全盛であり、質の良い服が格安で買えます。そのため、他社と差別化があまりできなくて、ブランド名が付いただけで非常に高価である服は売れなくなるのは至極当然のことです。実際に二社の売上を比較した場合に、リーマンショック後の2009年頃から大きく差が開いたことが分かります。
5. 倒産の理由②:ECサイトの不調
近年はECサイトに力を入れていたレナウンでしたが、ターゲットがECサイトを使いこなせなかった可能性があります。レナウンのターゲット顧客はやや年配寄りのため、ECサイトの構築費用や維持費用に見合うだけの投資対効果があったか非常に疑問です。
販売チャネルを顧客のターゲット層と合わせることが経営の基本ですので、それができてなかったと考えられます。
6. まとめ
以上、レナウンの財務状況が悪化し、倒産した理由は二点述べました。一つ目は、百貨店ビジネスの苦境です。百貨店の売上は、ここ数年インバウンド需要により何とか保たれていたものの、今回のコロナ騒動で急減しています。その影響がレナウンに与える影響は相当大きいと考えられます。また、委託仕入方式という百貨店との関係が、在庫を増やした原因であると考えれます。二つ目が、ECサイトの不調です。レナウンのターゲット顧客はやや年配寄りのため、ECサイトの構築費用や維持費用に見合うだけの投資対効果があったか非常に疑問です。
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