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目次
1. 本記事の目的
本記事では、資金繰りの悪化から約77億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した2019年ひびきについて、倒産の理由を解説します。なお、本記事については、粉飾決算等を考慮しない、純粋な経営失敗の理由を考えております。
実は個人的な理由で同社とは関わりがあったため、倒産前の内情を多少知っております。そのため、細かい数値や登場人物は一切隠して記事を書いております。
【参考】今更聞けない倒産の定義:六つのケースを分かりやすく解説
結論として、倒産した理由は二点あると考えられます。一つ目は、身の丈に合わない拡大戦略です。二つ目が、料金設定の失敗です。以上二つの理由により、資金繰りを悪化させ民事再生に至ったと思われます。
2. ひびきとは?
ひびきは、埼玉県東松島市に本社を置く、焼きトンや焼き鳥を販売する居酒屋を展開する企業です。実は焼きトンとは埼玉県東松山市が発祥で、そこでの焼き鳥は鶏肉ではなく豚のカシラを使います。
ひびきで提供する商品はトレーサビリティもしっかりしており、特にみそだれはモンドセレクションに何度も受賞しています。
埼玉を中心に合計約30店舗を展開するなどして、08年6月期には約5億4,500万円だった年間の売上高は、18年6月期には約20億7,400万円に拡大しておりました。
3. 当時のひびきの財務状況
当時、直近三年間ののひびきの財務諸表と、㈱東京商工リサーチより公開されている「標準財務比率」に記載されている飲食店(売上高10億~30億円未満)・食品製造業(売上高10億~30億円未満)・畜産食料品製造業の財務データとを比較することにより、現状分析を行いました。ひびきの業務内容を考慮し、3業種と比較しております。
粉飾決算があったため実態が不明ですが、当時のひびきは国内の新店舗出店効果や海外における調味料販売も堅調に伸びており、三期連続で増収を達成しておりました。
しかし、長期での財務の安全性を判断する上で必要な500%超えと、業種平均と比べて非常に悪い数値となっておりました。また、損益分岐点分析を行ったところ、5%でも売上が落ちると赤字に転落する状況でした。これは、倒産の理由で後述する拡大戦略により固定費が増加していたことが起因しています。
キャッシュフローは、営業キャッシュフローはプラスであるものの、投資キャッシュフローが非常に多く、銀行の借入等でなんとか財務キャッシュフローをプラスにしている状況でありました。そのため、融資を受けれなくなった際は、一気に業績が悪化してしまうのです。
ひびきが財務状況が悪化し、倒産した理由は二点あると考えられます。一つ目は、身の丈に合わない拡大戦略です。二つ目が、料金設定の失敗です。以上二つの理由により、資金繰りを悪化させ民事再生に至ったと思われます。
4. 倒産の理由①:身の丈に合わない拡大戦略
一つ目の理由は、身の丈に合わない拡大戦略です。特に大手町から有楽町に移転したやきとりスタジアム東京の出店費用が当社を苦しめておりました。当時簡単に出店のシミュレーションを行いましたが、座席回転数を1.1回転で客単価6,500円程度、座席回転数を1.2回転で客単価6,000円程度を達成しなければ店舗単体での黒字は難しいと判断しました。それくらい有楽町の土地の賃料や、飲食店に通常かかる食材費や人件費等は高いのです。
また、オリジナルビールの開発や会社の買収日本酒オートサーバーの開発など、非食品分野への投資を積極的に行っていました。その投資を行うために、積極的に借り入れを行っていたのです。
しかし、その投資の効果が想定より少なく、コストだけがかさんでいたと考えられます。
4. 倒産の理由②:料金設定の失敗
焼き鳥や焼きトンと聞くと、どうしても料金が安いというイメージがあります。しかし、倒産の理由①で説明したとおり、有楽町での店舗では大体6,000円程度の客単価を狙いメニューを考える必要がありました。また、何店舗かお邪魔した際に友人と普通に飲んでいたのですが、二時間程度飲食して大体一人4,000円弱の金額がかかりました。
この料金設定は、多大な固定費を補うために必要な施策あったと考えられますが、顧客とのミスマッチが発生してしまい、売上の伸び悩みに繋がったと考えられます。
5. まとめ
結論として、倒産した理由は二点ありました。一つ目は、身の丈に合わない拡大戦略です。二つ目が、料金設定の失敗です。以上二つの理由により、資金繰りを悪化させ民事再生に至ったと思われます。その二つの理由により、売上が伸びない割には負債がかさみ、倒産にいたったと考えられます。
現在は、東京都内を中心に居酒屋を手掛ける「とりビアー」がスポンサーとなり、営業を続けております。商品自体は普通に美味しいので、今後も頑張ってほしいです。
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