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目次
1. 本記事の目的
本記事では、コロナウイルスによって大きな影響を受けている日本の上場航空企業(航空旅客を行う企業)について、業績等を元に現状を調査しました。対象は、JAL(9201)、ANA(9202)、スターフライヤー(9206)である。
結論として、ターフライヤーが非常に厳しいことがわかります。また、固定費等の問題からANAよりJALの方がまだマシであるという状況がうかがえます。
2. 日本の航空業界の現状
日本の国内旅客数の推移をみると、2000年前後まで増加傾向でありましたが、燃油価格高騰の影響により2007年度より減少に転じました。その後も、2008年度の金融危機の影響もあり2011年度まで減少の一途を辿っていたが、東日本大震災からの復興需要やLCC参入による需要の掘り起こしなどにより2012年度から再び増加しています。なお、国内旅客の約6割は羽田空港を利用している。
一方、国際航空旅客需要は、リーマンショック後の景気後退後の2012年度以降、増加基調を辿っており、2018年度は4年連続過去最高を更新しました。
2019年度は年度末から新型コロナウイルスの感染拡大により航空需要の大幅な減退が顕在化しました。3月の国内定期が前年比53.6%減、国際線では2月で同26.8%減、3月で同77.3%まで落ち込んだことから、前年度比3.1%の減少となった。続く4月も国内定期で同88.2%減、国際線で同97.3%減とほぼ寸断され厳しい局面を迎えています。新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が解除されたものの、旅客数の回復には時間を要するとみられます。なお、羽田空港国際線発着枠拡大が2020年サマーダイヤから新規開設・増便が計画されていますが、今後の情勢の影響が懸念されます。
3. JALの業績
JALは、国際・国内旅客、貨物を対象とする航空運送事業者です。フルサービスキャリア事業を強化するとともに、新たな収益源の創造・育成にも挑戦しています。グローバルアライアンス「ワンワールド」に加盟しています。
さて、四半期ごとの業績を6期分確認してみます。2019年度は第3四半期までは売上利益共に絶好調でしたが、コロナウイルスが顕在化した第3四半期から業績が一気に落ちています。ただ、この企業の凄いところは、国内線も国際線もほとんど飛ばせなかった2020年第1四半期の売上総利益が黒字であるということです。
4. ANAホールディングスの業績
ANAホールディングスは、フルサービスキャリアである全日本空輸を中心とする持株会社です。国内線を基盤に、国際線を成長の柱と位置づけています。LCCでは傘下にバニラ・エアとピーチを有しています。
さて、四半期ごとの業績を6期分確認してみます。こちらも2019年度は第3四半期までは売上利益共に絶好調でしたが、コロナウイルスが顕在化した第3四半期から業績が一気に落ちています。
ANAの怖いところは、国際線に力を入れていた矢先のコロナウイルス騒動であるということです。また、LCCは乗客を一度にいかに多く載せるかが勝負であるため、いまの状況はJALやANA等のフルサービスキャリアに比べて非常に厳しいものとなります。
また、ANAは給料が他社と比較して高いと言われており、その固定コストも負担となります。
5. スターフライヤーの業績
最後に紹介するスターフライヤーは、北九州空港拠点として航空運送事業へ新規参入した航空会社です。高品質のサービスと低廉な運賃に特徴があります。ビジネス利用が中心ですが、今後余暇利用の取込も狙っています。全日本空輸と共同運航を実施しています。
さて、四半期ごとの業績を6期分確認してみます。季節性とも考えられますが、2018年度の第4四半期の営業利益ですでに赤字です。夏休み需要がある第2四半期で利益が多く発生するビジネスモデルであることがうかがえます。
さて、コロナウイルスの影響により2020年度の第1四半期は大赤字となりました。また、夏休み需要が見込める第2四半期は期待できそうにありません。この状況で、利益が見込めない2020年度の第4四半期まで持ちこたえられるのでしょうか。スターフライヤーは、そのような状況から、経営が非常に厳しいと感じております。
6. まとめ
以上見ていただいた通り、スターフライヤーは非常に厳しいことがわかります。また、固定費等の問題からANAよりJALの方がまだマシであるという状況がうかがえます。三社とも株主優待が充実しているので、なんとか生き残ってほしいです。
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