国の制度の解説:事業継続力強化計画とは?

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

1. 本記事の目的

本記事では、中小企業庁が管轄となり推し進めている事業継続力強化計画について、中小企業診断士の著者がその概要を説明します。

事業継続力強化計画は、補助金の審査において加点項目となる等、認定を取得すると色々と企業にとって有利な制度となります。

2. 事業継続力強化計画とは

「事業継続力強化計画」とは、自然災害等による事業活動への影響を軽減することを目指し、事業活動の継続に向けた取組を計画するものです。本計画を作成、申請し、経済産業大臣より認定された事業者は、当該計画実施に資する助成制度(税制や金融の支援等)を受けることができます。特に「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」において重要な加点項目となるため、積極的に取得すべきです。

「事業継続力強化計画」の申請は、単独の企業で作成・申請する「事業継続力強化計画」と、複数の企業が連携して計画・申請する「連携事業継続力強化計画」があります。本記事では、単独型の「事業継続力強化計画」に関する事項について、制度概要に加え説明します。

3. 事業継続力強化計画制度の概要

「事業継続力強化計画」とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだものです。内容としては支援措置を受けるために、将来的に行う災害対策などを記載します。

認定を受けた中小企業は、防災や減災設備に対する税制優遇、低利融資、補助金の優先採択等を受けることができます。計画に記載する取組の例は、災害時における従業員の避難や被害状況把握、災害時における社内体制の設定などの初動対策に加え、人員や設備、資金繰り、情報保全などで必要な対策の検討、従業員への訓練や計画の見直し等の実効性の確保などを計画に盛り込みます。

なお、認定を受けられるのは、中小企業等経営強化法で定められた中小企業の定義に該当する企業のみです。申請する前に確認しましょう。

【出典】中小企業等経営強化法第2条第1項

【参考】中小企業経営強化法条文

4. 計画策定の内容

計画策定の際には、防災・減災対策として必要な取組を計画として盛り込む必要があります。具体的には、以下五点の内容等を申請書に記入することにより、認定を受けることができます

①企業の概要(連携型の場合は連携企業の概要)

②自然災害が事業活動に与える影響の認識(被害想定等)

③初動対応の内容

④事前対策の内容

⑤事前対策の実効性の確保に向けた取組

詳しい内容につきましては、相談に乗りますのでお問い合わせください。

U-Mapでは、お仕事の依頼を承っています。
詳しくは、こちらから!

5. 事業継続力強化計画制度申請の手順

事業継続力強化計画制度申請の手順は、大きく分けて四つです。

制度の利用を検討/事前確認・準備

金融支援、税制優遇を受ける場合には、関係機関(日本政策金融公庫や税務署等)に対し、適用対象者の要件や手続き等を事前に確認することをお勧めします。

事業継続力強化計画の策定

「単独型」「連携型」のどちらを提出するのかご判断いただきます。グループ会社等複数で申請する場合は、連携型となります。自社以外が全て中小企業者以外の場合は単独型となります。「基本方針」及び「作成指針」を踏まえて、本手引きを参照しながら事業継続力強化計画を作成してください

【参考】事業継続力強化計画HP

事業継続力強化計画の申請・認定

事業所が所在するお近くの各経済産業局長宛てに必要書類を提出ください。認定を受けた場合、各経済産業局等から認定通知書と計画申請書の写しが交付されます。大体、申請から認定まで約45日かかります。

事業継続力強化計画の開始、取り組みの実行

税制優遇・金融支援等を受け、事業継続力強化計画の取組を実行していただきます。

6. 支援の内容

①日本政策金融公庫による低利融資

事業継続力強化計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、低利融資を受けることができます。(融資のご利用にあたっては、別途日本政策金融公庫の審査が必要となります。)

②中小企業信用保険法の特例

中小企業者は、事業継続力強化計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

③中小企業投資育成株式会社法の特例

事業継続力強化計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(中小企業者)も事業継続力強化計画の実行にあたり。中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能になります。

④日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット

事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店又は海外子会社が、日本政策金融公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本政策金融公庫による債務の保証を受けることが出来ます。

⑤中小企業防災・減災投資促進税制

認定された事業継続力強化計画に従って取得した一定の設備等について取得価額の20%の特別償却が適用できます。

⑥一部補助金申請時の加点

計画認定を受けた事業者は、ものづくり補助金等の一部の補助金において審査の際に、加点を受けられます。

U-Mapでは、お仕事の依頼を承っています。
詳しくは、こちらから!

西日本鉄道(9031)のMaaS戦略

田舎にある観光地でカフェを経営する:設備投資編

関連記事

  1. 中小企業診断士のお仕事①:市役所の融資相談窓口

    1. 本記事の目的本記事では、謎の多い中小企業診断…

  2. 中小企業診断士と国内MBAのどちらを取得すべきか…

    1. 本記事の目的本記事では、中小企業診断士の著者が、中小…

  3. 田舎にある観光地でカフェを経営する:資金調達編

    1. 本記事の目的本記事では、中小企業診断士の仕事の一つと…

  4. コンサルタントが教えるパワーポイント作成講座:シ…

    1. 本記事の目的本職のコンサルティングファームや、中小企業診断士…

  5. タクシー業務の「免許制」廃止は、日本にとって不可…

    1. 本記事の目的本記事は、なぜUberは日本で普及しない…

  6. コワーキングスペースのWeWorkを使ってみた …

    1. 本記事の目的本記事では、ソフトバンクグループ(998…

  7. 今更聞けない倒産の定義:六つのケースを分かりやす…

    1. 本記事の目的本記事では、以前から「父さんの会社が倒産…

  8. オリジナルビールの作り方:醸造方法まとめ編

    1. 本記事の目的私は、お酒が大好きです。居酒屋ではもちろん家でも…

最近の記事

ツイッター

プロフィール

プロフィール

このサイトを運営しているhk5です。
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。
都内の某私立大学を経て、某シンクタンクの支社決算業務の主担当として従事。 3年半勤務後、某コンサルテインングファームでAIプロジェクトの企画書作成、某金融機関のチャットシステム実装のPMO、某政府系組織のシステム企画の要件定義等を経験する。
現在、都内の某国立大学院で経営学を学習中。加えて、大学院と提携しているコンサルティングファームと協業し、将来の公立病院の経営戦略をテーマにレポートを執筆中。
また、中小企業診断士として、週1~4程度の頻度でベンチャー企業の業務を手伝い、新事業企画の立案や収支シュミレーションの作成等、パワーポイントを中心とした資料作成や市の融資相談員を行っている。
趣味は星野リゾートと離島巡り。日本中回りたいと思っている。
PAGE TOP