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目次
1. 本記事の目的
本記事では、MaaS事業に力を入れ始めた西日本鉄道(9031)という企業の、最近のMaaSの取り組みについて簡単に説明します。
2. 西日本鉄道とは
西日本鉄道株式会社は、1908年12月17日に創業した乗合バスや貸切バス、特定バス車両、鉄道を運営する会社です。資本金は261億5,729万円と結構大規模な企業で、2019年度の営業収益は161,696百万円です。
保有する車両数は自動車1,860台(乗合バス、貸切バス、特定バス車両)で、鉄道は311両有します。従業員数は他社への出向者等を除き、4,666人のようです。
また、株主優待もあります。3月末と9月末の保有株主を対象に株主優待乗車券等がもらえます。もし利用者であれば、株を保有してみるのも手です。
3. 西日本鉄道のMaaS施策①:のるーと
西日本鉄道は、地域におけるバスやタクシーといった自動車交通は利用者の減少や運転士不足などの問題を抱えています。特に乗合バスはピーク時の輸送人員はピーク時の約40%にまで減少しており、乗合バス運転者数の推移も長期的に減少傾向です。そのため、効率的で持続可能な公共交通サービスの再構築が課題となっています。
上記のような課題を踏まえ、西日本鉄道と三菱商事が共同で出資するネクスト・モビリティは、AI活用型オンデマンドバス「のるーと」のオペレーションの仕組みや導入・運営ノウハウの全国展開(ソリューション提供型事業)を開始しました。 「のるーと」とは、お客さまのリクエストに応じて適宜ルートを設定しながら運行するオンデマンド型の乗合交通サービスです。AIが利用データを蓄積・学習することで、より効率的な運行ができます。
また、普通二種免許での運転が可能であり、乗務員採用の裾野が広がるため、運転士不足解消につながることが期待される。2019年4月よりアイランドシティ地区で運行を開始し、現在では壱岐南地区を含めた二つのエリアで運行しています。「のるーと」の導入によって、多様なニーズへの対応による利便性向上や車両の小型化などによるコスト削減を図ることができると考えられます。
4. 西日本鉄道のMaaS施策②:バスダイヤ運行支援システム
今まで乗客のデータを収集するためには、大勢の社員がバス停に直接出向き、目視で乗降客数や混雑状況を調べていました。 加えて、収集したデータを入力し、バス停間のデータをつなげ全体を把握するための資料化には膨大な時間と労力を要していました。そのため、バスダイヤ編成のためのデータ分析には多くの時間を要していたのです。なんと、今まで西鉄バスでは、バスダイヤ編成を20代~30代の若手社員5~6名を中心に、5カ月ほどかけていたそうです。
上記の課題を元に、西鉄と日立製作所は2018年4月より、持続可能な公共交通モデル構築に向け、次世代バス事業に関する協創を開始しました。その第一弾として、ICTを活用したバスダイヤ運行計画支援システムの構築に取り組みます。
このシステムは、バスの走行実績や乗降に関する統計データを活用して、停留所ごとの乗車・降車の需要を分析し、出発地・目的地ごとの需要や運行本数、方面別の利用者数などを地図上に可視化します。また、運行経路の需給状況やバス一台ごとの運行状況についても捕捉し、路線の混雑具合や潜在的な需要の把握等、最適なダイヤ編成に向けた取り組みを強化します。これにより、ダイヤ編成に従事する社員の作業時間は50時間程度削減される見込みです。将来的には、気象データや人口統計などのオープンデータとの連携やAIを活用した需要予測などを検討し、システムの高度化をめざします。
4. 西日本鉄道のMaaS施策③:my route
近年、サイクルシェアや空き駐車場を利用した予約サービス等モビリティ分野において先進的な取り組みが次々に登場し、人々の移動の在り方も変化しています。しかし、それらと公共交通機関を横断的に利用できるプラットフォームがなく、ユーザーは別々のサービスを利用するしかありませんでした。特に福岡市内の移動手段は公共交通機関が中心であります。先進的なモビリティ分野のサービスと連携することで、ユーザーの利便性は飛躍的に向上する可能性があります。
「my route」とは、西日本鉄道とトヨタが交通・店舗・イベント情報のサービサー8社の協力のもと2018年11月から福岡県福岡市で実証を進めているマルチモーダルモビリティサービスです。鉄道やバスなどの公共交通やタクシー、シェアサイクルなどさまざまな移動手段を組み合わせたルート検索や、一部サービスの予約・決済のほか、店舗・イベント情報の検索も可能にしました。
マルチモーダルルート検索では、駐車場シェア事業を手掛けるakippaやサイクルシェア事業を手掛けるメルカリが連携したほか、予約・決済ではタクシー事業を手掛けるJapanTaxiが同社の配車アプリを連携させました。アプリでは、移動ルートの選択肢を提示するほか、西鉄の路線バスのリアルタイムな位置情報や駐車場の満空状況なども表示することができます。
6. まとめ
以上、西日本鉄道のMaaS施策をまとめてきました。公共交通機関にも様々な課題があり、そのためにMaaS施策が取り組まれていることがよくわかりますね。
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