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目次
1. 本記事の目的
本記事では、中小企業診断士の著者が、主に法人に対しての国の支援制度を解説していきます。ちなみに10月までに申請の締切がある支援制度や一部業種のみに関わる支援策等は除いております。
コロナ禍において、事業業績の低下に苦しんでいる方は多いと思われます。そのため、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
2. 国の支援制度(法人)の概況
本記事では、「給付金」「補助金」「保証」「融資」に分け、個の支援策をまとめております。
3. 法人が利用できる給付金
給付金とは、簡単に言うと返却不要の支給制度です。
①持続化給付金
感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金です。中小企業庁が管轄となります。
給付要件は三つあります。一つ目は、資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること、もしくは資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。二つ目は、2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があることです。三つ目は、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)があることです。
給付金の給付額は、200万円を超えない範囲で対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものとします。
申請はインターネットの専用サイトで行います。電子申請の送信完了の締め切りは、令和3年1月15日(金)の24時までです。
②家賃支援給付金
コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面するみなさまの事業の継続を支えるため、地代・家賃(賃料など)の負担を軽減を目的とし、賃借人(かりぬし)である事業者に対して給付金を給付します。こちらも管轄は中小企業庁です。
給付要件は三つあります。一つ目は、2019年12月31日以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があることです。二つ目は、2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより以下の条件のいずれかにあてはまることです。その条件は、いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っていることと連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っていることです。三つの給付要件は、他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていることです。
給付額は、申請日の直前1か月以内に支払った賃料をもとに算定され、最大300万円が給付されます。
申請はインターネットの専用サイトで行います。電子申請の送信完了の締め切りは、令和3年1月15日(金)の24時までです。
4. 法人が利用できる補助金・助成金
補助金は、給付金と異なり、何かに投資をする場合に一部金額を補助するという趣旨で行われるものがほとんどです。一部金額補助の割合のことを、補助率と呼びます。
①ものづくり・商業・サービス補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
対象者は、本補助金の金額は申請の内容によって異なりますので、詳しくはHPをご確認ください。また、管理人も何回か申請の手伝いを行ったことがあるので、今度記事化しようと思います。
②IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、事業者の業務効率化・売上アップをサポートする補助金です。経済産業省が管轄しております。
対象者は、法律で定められる中小企業および個人事業主です。補助対象になる経費は、ソフトウエア費、導入関連費等です。
本補助金の上限額と下限額、補助率は条件によって変わりますので、詳細はHPを確認してください。
③雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るため、雇用調整を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。厚生労働省が管轄しております。
支給対象となる事業主の要件は三つあります。一つ目は、新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している事業主です。二つ目が、最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している事業主です。三つ目は、労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っていることです。
また、助成対象となる労働者は、事業主に雇用された雇用保険被保険者です。学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。
支給額は要件によって異なりますので、詳細はHPを確認してください。
④小規模事業者持続化補助金
本補助金は、小規模事業者等が今後複数年にわたる相次ぐ制度変更に対応するため、生産性向上に資する経営計画に基づく販路開拓等を行う事業、また、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を行うため、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインに照らして事業を継続する上で必要最低限の取組に関する事業を実施する補助事業者に対して、補助事業に要する経費の一部を補助することにより、小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とする制度です。日本商工会議所が設けている補助金となります。
本補助金の対象要件は三つあります。一つ目は、「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」のいずれか一つ以上の投資に取り組むことです。二つ目は、持続的な経営に向けた経営計画を策定していることです。三つ目は、以上二つの要件を満たす日本国内に所在する小規模事業者等です。
本補助金事業は、具体的な対策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備)に取り組む小規模事業者等の地道な 販路開拓等を支援するため、原則100万円(補助率:2/3または3/4)を上限に補助するものです。
5. 法人が利用できる保証制度
保証制度とは、国が事業者の融資の返済を保証するもので、事業者は制度の利用により融資が受けやすくなります。
①セーフティネット保証制度
この制度は、取引先等の再生手続等の申請や事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻、大規模な経済危機等による信用の収縮等により経営の安定に支障を生じている中小企業者について、保証限度額の別枠化等を行う制度です。中小企業庁が管轄しております。
セーフティネット保証制度は何種類かあり、対象要件が複雑ですので、詳細はHPを確認してください。
②危機関連保証制度
我が国の中小企業について著しい信用の収縮が全国的に生じていることが確認でき、国として危機関連保証を実施する必要があると認める場合に、実際に売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。今回のコロナウイルスはこれに当てはまります。中小企業庁が管轄しております。
セーフティネット保証制度は何種類かあり、対象要件が複雑ですので、詳細はHPを確認してください。
6. 法人が利用できる融資
①マル経融資
商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人でご利用できる制度です。日本政策金融公庫が管轄しております。
要件は二つあり、一つ目は新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方、二つ目は商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けており、商工会議所等の長の推薦です。
融資限度額は通常のご融資額に加え、別枠で1,000万円用意されます。また、利率は当初3年間で特別利率 - 0.9%(別枠の1,000万円以内)、4年目以降が特別利率です。返済期間は、設備資金10年以内(据置期間は4年以内(別枠の1,000万円以内))、運転資金 7年以内(据置期間は3年以内(別枠の1,000万円以内))です。
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