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目次
1. 本記事の目的
本記事では、中小企業診断士の仕事の一つとしてお手伝いさせていただいた、東京や大阪といった大都市圏以外でのカフェの開業や経営のコツについて書かせていただきます。今回は経営戦略編となります。
地元や旅行で訪れて一目ぼれした土地で、自分のカフェを開業し経営したいという気持ちは多くの方がお持ちであると思われます。しかし、地方には地方なりの特徴があり、それに適応した経営の戦略を考えることが必要となります。その詳細は、情報収集や資金調達、設備投資、マーケティング等多岐に渡ります。それらを総合的に考え、戦略的にカフェを経営していくことが、何よりも必要であると考えます。
2. 田舎にある観光地の定義
私がお手伝いしているカフェの立地は、田舎にある観光地に位置しております。このカフェのスペックは、温泉があり、かつ最寄りの駅や空港から車で30分以上です。しかしその土地は、観光地としてのポテンシャルが高く、観光客が一年で大体50万人程度来ている所です。
最大の特徴としては、地元の結びつきが強いことや、車の利用者が多いこと、高齢者が多いことが挙げられます。このような土地は日本全国に存在すると考えられ、その土地でカフェの経営戦略を立てることが必要です。
3. 経営戦略①:情報収集
カフェを開業し経営していくには、田舎ならではのローカルな情報が必要となります。例えば、格安の物件が売りに出されていることや地元のキーパーソンは誰か、時間帯別の客足の動向等お金で買えない情報を得ることが、カフェ経営の成功に寄与するのです。
まず、開業する予定のカフェが地元でなく、縁もゆかりもない人は、地元の人をアルバイト等で雇うことをおすすめします。私が支援していたカフェでも地元の主婦の方を雇い、町のしきたりや不用品の譲渡、物件情報等をカフェに与えてくれました。非常に助かる存在です。
また、田舎の情報は床屋や居酒屋、バー、温泉街であれば公衆浴場等に集まります。そのため、それらの場所には積極的に足を運ぶようにし、貴重な情報を得るようにしましょう。
また、適用される法律等の情報はインターネットや専門家から集めるようにしましょう。特にカフェは、さまざな資格や要件、申請等が必要となる業種です。
まず、飲食店を開業する場合は、「食品衛生責任者」という資格の取得が必要です。これは、各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講すれば取得可能で、店舗の営業許可を保健所に申請をする際に必要な資格となります。受講料は一万円程度で、全国共通の資格です。
次に規模により取得が必要な資格は、「防火管理者」です。これは、カフェの収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合に取得が必要です。しかし、田舎のカフェで収容人数が30名を超えることはまれなので、規模が小さい店を検討している方は考えなくてよいでしょう。
次に申請です。一つ目に「飲食店営業許可申請」というものが必要です。この申請には厨房、食器棚、空調など店舗設備において細かい規定があります。提出先は保健所となります。二つ目はパンや菓子のテイクアウトや卸業を中心として開業する場合には、「菓子製造業許可申請」が必要となります。これも保健所に申請してください。最後に「開業届」です。これは毎年確定申告を行って税金を払えば必須ということではないのですが、確定申告時に最高65万円の控除が受けられる青色申告控除等の制度が利用できる等の利点がありますので、申請していくといいでしょう。
4. 経営戦略②:資金調達
カフェ、居抜き物件を使わない限り、土地の購入や改築、備品の購入で1,000万円弱かかることとなるため、自己資金の容易で相当な貯金をする覚悟が必要です。ましてや、居抜き物件は田舎に少ないため、出店のプランは慎重に行うことが必要です。そのため、銀行からの借金をしてまで事業を行うよりも、自分で貯めたお金を中心にカフェは経営した方が良いです。もちろん、資金が足りない場合は様々な制度を駆使して資金調達する必要があります。そして、お金が尽きたら潔く諦めるのも一つの手です。
カフェの資金調達に関しては、以下の記事を参考にしてください。
5. 経営戦略③:設備投資
やみくもに資金調達を行うのではなく、必要な設備投資額に合わせた資金調達を行う必要があります。また、初期投資をできるだけ抑えるため、レンタルやテンポスHD(2751)が運営するテンポスバスターズで中古の機器をそろえるとよいでしょう。
カフェの設備投資に関しては、以下の記事を参考にしてください。
6. 経営戦略④:マーケティング
経営戦略で超重要となるのが、マーケティングです。マーケティング適切に行うと、ある程度の来客が見込めるようになります。例えば、私が支援したカフェだと、内装が非常におしゃれであるため、主なターゲットは若い女性となります。しかし前述した通り、高齢者が多い土地であるため、近隣の街からターゲット顧客を集める必要がありました。そのため、「Instagram」を中心としたSNSの活用により、現在も来客数を伸ばし続けています。また、HPの活用により、商品情報の提供や知名度の上昇を狙うことも必要です。
また、田舎の特徴の一つとして、車の利用者が多いことも挙げられます。これはアルコールを提供するカフェにとっては結構致命的です。そんな場合は、地元の年配層をターゲットに、メインストリートでのビラ配りや掲示板にチラシを貼る等、アナログなマーケティングを行うことも考えましょう。これも立派なマーケティングの一つです。ただし、町内会や警察の許可はしっかりと取りましょう。
カフェのマーケティングの詳細に関しては、今後記事を書く予定です。
7. 結論
地元や旅行で訪れて一目ぼれした土地で、自分のカフェを開業し経営したいという気持ちは多くの方がお持ちであると思われます。しかし、地方には地方なりの特徴があり、それに適応した経営の戦略を考えることが必要となります。その詳細は、情報収集や資金調達、設備投資、マーケティング等多岐に渡ります。それらを総合的に考え、戦略的にカフェを経営していくことが、何よりも必要であると考えます。
そして、お金が尽きたら潔く諦めるのも一つの手です。
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