この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
目次
1. 本記事の目的
本記事では、最近話題となっている医療Maas等について、病院への送迎や介護者の送迎など医療保険が絡むような部分については、たとえ無償運行であっても専用車両にする必要があり、その他目的の塾等の送迎を同一乗車できないなどの規制があるのではないか?という疑問を解決するものです。
結論として、無償であれば、道路運送法上の許可や登録を受けずに輸送を行うことが可能です。ただし、事故の際の責任所在は明確にする必要があります。 また、国民健康保険の適用は、至急要件が非常にあいまいであるが、車両の要件等は特にありません。加えて、有償の場合、「介護タクシー事業」および「福祉タクシー事業」においては、ドライバーの資格や車両等の要件が多く、新規参入は困難であると考えられます。
もし、有償での事業の可能性があるとすると、「福祉有償運送業務」というものです。これは、旅客自動車運送事業の許可がなくとも、有償で乗客を乗せることが可能です。ただし、営利目的の団体の申請が認められていない可能性があります。
2. 国民健康保険の適用条件
まず、国民健康保険の適用条件について調べました。国民健康保険とは、病気やけがで移動が困難な患者が、医師の指示で一時的・緊急的必要があり、移送された場合に、移送費が現金給付として支給されるものです。
支給要件として、移送費の支給は、次のいずれにも該当すると保険者が認めた場合に行われます。一つ目は、移送の目的である療養が、保険診察として適切であることです。二つ目は、患者が、療養の原因である病気やけがにより移動が困難であることです。三つ目は、緊急・その他、やむを得ないことです。
支給額として、移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の旅費に基づいて算定した額の範囲での実費です。なお、必要があって医師等の付添人が同乗した場合のその人の人件費は、「療養費」として支給されます。
3. 介護者の病院送迎などに関する規制①:介護タクシー
介護タクシー事業とは、一般的に介護タクシーと呼ばれるのは、介護職員初任者研修などの資格を持つ運転手が行う、「訪問介護」の中の「通院等の乗降介助」のサービスです。サービスの利用には介護保険が適用されるが、目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」に限られる。その目的以外での利用もできるが、費用は利用者の自己負担となります。
許可の条件としては、運営規程に「通院等乗降車介助」を明示し、都道府県に届出がされていること、道路運送法に抵触しないと認められること、予め居宅サービス計画に位置づけられ、居宅サービス計画に「通院等乗降車介助」サービスが必要な理由、利用者の心身の状況から乗降時の介助を必要と判断した趣旨等が明確に記載され、計画に沿ったサービスが提供されていること、要介護1~5に該当する利用者であること(要支援は対象外)が挙げられます。
4. 介護者の病院送迎などに関する規制②:福祉タクシー
福祉タクシー事業とは、高齢者や障害者の外出を支援するタクシーおよび、そのサービスを指します。一般には、福祉車両(車いすや寝台を備えた車両)を使って、要介護者などを輸送するサービスが該当します。適用されると思われる法律としては、道路運送法第4条が挙げられます。
輸送サービスの運賃については、国土交通省通達「福祉輸送サービスを行う一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金について(国自旅第170号)」で定められています。福祉輸送サービスの運賃を「ケア運賃」「介護運賃」「民間救急運賃」の3種類に設定し、それぞれについて弾力的な取り扱いを行うことを明記しています。
5. 介護者の病院送迎などに関する規制③:福祉有償運送事業
福祉タクシーはタクシー事業者が福祉車両を使用して行う移送サービスであるが、類似のサービスが「福祉有償運送」です。2004年4月より、「一般乗用旅客自動車運送事業」の許可を受けていなくても、NPO法人やボランティア団体が福祉タクシーのサービスを行うことが可能となりました。
6. 有償にあたらない移送
運送の対価を得ない場合は、道路運送法上の許可や登録を受けずに輸送を行うことが可能であるが、事故の際の責任の所在を明確にしておくことが必要です。
U-Mapでは、お仕事の依頼を承っています。
詳しくは、こちらから!